2013...Avril(4月)

30 Avr.

午前中からフェットに参加しました。対位法やフーガについて、沢山の濃いお話を聞いて考えさせられました。でも自分の場合まだ、そこに至る以前に、今は兎に角フランスのシステムで沢山練習したいです。研修に来られている先生が間もなく帰国されるそうで、お別れが寂しかったです。パリにいると沢山の素晴らしい音楽家と出会います。すぐにお別れが来ることも多い。
ロームへクラリネットのリペアへ。A管のバレルを少し広げてもらいました。持ち替えの時にもこれで安心です。

パーカッションのよい資料を求めて、楽譜屋さんをはしごしましたが見つけられず、関係ない(でも欲しくなってしまう)スコアを3冊買ってしまいました。部屋の棚を2段埋めてさらにあふれ、もう1段も占領しかけています。楽譜は、何か見つけるたびに買ってしまいどんどん増えていきます。


29 Avr.

早朝から音出しを終え、Nationのドゥプリュ先生宅へ。ミヨーのソナチネ、ブーレーズのアナリーゼ、テクニックのアドバイス。Doigtes(フィンガリング)が覚えきれず、全種類、写真を撮らせていただきました...。基本的に、特殊な音域のDoigtesは自分でいくつも開発し、その時々で使い分けるのがよいそうです。リードと同じ、と仰っていました。ドゥプリュ氏はブーレーズ作品を多数初演されたそうで、彼のために多くの特殊な音域を追及したそうですが、他のクラリネッティストから誰も吹けないからやめてくれーと言われたそうです。現実的な来年のお話も。
かえりにRomeで対位法用の五線紙を買って帰りました。8ユーロ。こんな五線紙があったのか、便利だなぁ

日本の、バイオリンレコーディングのための準備。インターネットがあれば何でもお仕事ができるので便利だな。
新作のためのアイデア探し。お散歩しながら。パーカッションの作品を書いてみたいと、まだ漠然とですが、考えています。むつかしいかな...


28 Avr.

研修1日目。レジュメをいただき、コース計画の説明が中心でした。新しく強力な道具が使える喜びに溢れています。理系の勉強が足りていません。Macのハードにももっと詳しくなろう、と誓いました。おなかペコペコで帰宅したら食料がなく、お店も閉まっているので、トロカデロのスタンド→でサンドイッチとコーヒーを。

日本から依頼のあった、弦楽四重奏編曲。いつもながら、本番が聴けないのが、とても残念です。


TOMZUIN HによるコンセプトアルバムRing特設サイトがOpen。音源視聴もできます。
リリースは5/15(水)全国CDショップ
http://tomzuinh.com/ring_j/
出国前にレコーディング協力させて頂いたアルバムです。応援どうぞ、よろしくお願いします。


27 Avr.

ドンジョバンニを聴きました。とてもクオリティーの高い演奏で、ずっと幸せが耳に入り続けます。recitativoのチェンバリストの繊細な和声感が特に大好きで、響きの美しさが魔法のようでした。"Don Giovanni, a cenar teco"は、子どもの頃から熱狂的に好きだったけれど、いろいろな経験をした今聞くと、さらにその深い意味が分かるようになっていて、胸の奥に響きました。いろいろな経験をする事、それを正面から受け止めること。大変だけれど大切なのだな、と思いました。いま、未熟で分からないことだらけですが、これからも、正面から受け止めることを心がけ続けようと思いました。成長できますように...。終演後は皆が熱狂の大拍手(写真はその時のカーテンコール)、感想を言い合わずにはいられなくて、私は一人で来ていましたが、同じくひとりで見ていた何人もの人に話しかけられました。みんな音楽が本当に好きなのだなあと、満ち足りた気持ちでした。

作品の浄書。フォントを整えたり、細かい部分まで、綺麗にしあげ、表紙をつけました。


26 Avr.

オーケストレーションのレッスン。Debussyの前奏曲2、特にハープのグリッサンド、pppの弦のハーモニクスと記譜、演奏者にやさしく、効果的な響きを作るかがポイントでした。前回TamをTomtomと勘違いしてしまいましたが、今回、トロンボーン2本を、何故かトランペット2本と勘違いして書いてしまっていました。先生は、そういう使い方も面白いね、でもコンクールでは落ちてしまうから気をつけてくださいと仰いました。恥ずかしかったです。コンクールの課題曲が発表になりました。ハープが使えないのが少し悲しいです。

声楽の教授とのランデブー、書き終えた声楽作品の歌詞についてのアドバイスを受けました。特にSyllabe(音節)について、あらあら...これでは歌いにくいわね、とあきれられつつ、沢山の修正を頂きました。フランス語の音節と音の繊細な部分まで、まだ私には分からないことが多く、本当にとても勉強になって嬉しかったです。フランス語はもちろんだけれど、イタリア語も、ドイツ語も、理解できるようになりたいな。

夜は行きつけのシャンゼリゼ劇場へ。パリ室内管、Vnギドンクレーメル、Maria Fedotovaのフルートを初めて聴いて、大好きになりました。可憐で繊細で楽しくて、またすぐに聴きたい。Gubaidulinaという作曲家のオマージュ作品を初めて聴きました。聞いたことのない音使いにドキドキしました。

修正したSyllabeにあわせ、伴奏も少しずつ変更しました。さらに、じっさいに音を出してみたあとで、少し修正を加えるかも知れません。これで完成。


25 Avr.

ロームで必要な 楽譜やリードを買い、国立図書館に行き、バスで帰宅しました。夕方からパリ市語学学校へ。2人一組で、相手の予定を聞きだして、食事やデートその他イベントに誘う、という会話をしました。おもしろいおじさんが、またウケを狙っていました。夏のバカンス中に特別講座が開講されるそうで、招待状をいただきました。

明日、声楽家の先生に歌詞のチェックをいただけることになり、シラブルを見直しました。でも、少し気が抜けたような一日で、ぼーとしてしまっていました。


24 Avr.

音楽院のお昼のコンサート。La Soiree pour flute et guitare(フルートとギターのための夕べの曲) を、ひろこさんと、グレゴワールが初演してくださいました。とても嬉しかったです。今まで教えてくださった先生方、友達、演奏者、聞いてくださった皆さん、多くの人、ひとりひとり、心から、感謝します。

無名の学生たちの新作発表、しかもお昼時のコンサートなのに、年齢も幅広く沢山のお客が皆熱心に聴いて下さっていました。コンサートの後では見ず知らずの人から感想を頂いたり握手をしたりしました。学長先生(美しいマダム)も聴きにこられ、コンサートの後でおめでとうを言ってくれました。音楽、芸術の懐の広さ、日本も少しずつこのようになったらいいのにな、と思いました。

コンサートの後、デジュネをして、少し時間を遅らせて作曲のレッスンが始まり、書き終えたポールの詩への声楽曲を見ていただきました。Mibの教会旋法。色づけのアドバイス、1音2音の繊細なアドバイスなどをいただきました。
さらに遅れて対位法のレッスン、6月のコンクール内容を聞き、あまりにも絶望的で目の前が暗くなりました。先生からレヴェルを落として和声のディプロムで受ける?と提案がありましたが、可能なら、私は対位法を受けたいです、といいました。



23 Avr.

カフェで一休みしていたら、フィリップジョリーからお電話で、プレイエル(お部屋のピアノ)を諸事情で夏ごろ売却することになってしまったそうで、もう借りられないそうです。とても悲しくて、目の前がまっくらになりました。今週は対位法の課題がたまってしまって、家や外やいろいろな場所で課題を解いていました。

声楽曲、少しずつ浮いてきたテーマを彫りすすめ、設計図にしたがいつつ、少し修正を加えつつ、曲を完成させていきました。作品を作る中で一番幸せな工程だなあと思います。


22 Avr.

お家の食料が尽きていたので、買い出しに出かけました。Boucherie(お肉屋さん)で生ハム、ポムデテイルグリル、キャロット、Boulangerie(パン屋)でバゲットとおやつのフランボワーズ・タルト、何と、Fruiterie(八百屋)にはすいかの姿がありました。スペインから来たのかな、もちろん連れて帰りました。嬉しいです。今日はフレデリック氏とのエシャンジュはお休みでした。

一日の半分くらい、日本のお仕事をしました。魔王のテーマ、怒りの曲、主題歌、Mode II を使った曲をたくさん書きました。コラールの練習をかねたり、オーケストレーションでハープとCorの用法を実践したり、わくわくしながら作りました。でも、打ち込みのオケでは、鳴るように書いても鳴ってくれないから残念です。


21 Avr.

ライターのTさんにお誘い頂き、ご家族ご友人と一緒に、桜の名所ソー公園にピクニックに出かけました。ベルサイユ宮殿のお庭を造った人が設計した、優雅で美しい噴水庭園。しばの上でビールとワインを飲んで、お寿司、サンドウィッチ、レギウムなど、たくさんいただき、みなさんごろりと横になったり、ドミノくん(犬)と広い庭園を散歩したり、白鳥を見たり、天国のような一日でした。

歌詞割が完了しました。旋律は何度かあてがい直し、決まりかけているところです。アクサンとリエゾンがあっているかどうか、明日フレデリック氏に発音していただこうかなと思います。ポールは日本が好きだったのだな。


20 Avr.

今シーズンのCantusForumsを聴きに8区コンセルバトワールへ。メルレ先生のPreludesも演奏されました。Nicolas BACRIの声楽曲を中心としたプログラム、手元でテキストを見ながら演奏を聴いていました。言葉と声の力はとても大きいです。コンサートのあと友人と近くのレストランでごはんを食べました。音の話を延々と、とても楽しかったです。

今日は、日本のお仕事をしました。予定が詰まっていて無理なことをお伝えしたら、締め切りを少し延ばしても頼みたいと待ってくださって、いま書いているところです。おともだちがプレゼントしてくれた、彼女設計のオカリナを、森の曲で録音しました。本当にとてもいい音


19 Avr.

ソルボンヌ大学のお昼のコンサートシリーズ、母校の後輩が運営のお手伝いをされていて、ご招待のお言葉に甘えて出かけました。Beethoven et ses contemporainsIIということで、AntonREICHAのTrioソナタとフーガ(ピアノフォルテの独奏)が演奏されました。ピアノフォルテのppの音色にとても感動しました。ペダルは膝でコントロールするそうです。BeethovenのTrio2楽章で、咳が出てしまい、止めるために水を飲もうとペットボトルのふたを開けたら、何故かシャンパンのコルクを抜いたような音が会場中に響き、心臓が止まるかと思いました。いたたまれなかったです

午後からオーケストレーションのレッスンへ。Debussyの前奏曲、木管楽器の特殊管を使う課題でした。打楽器のTamtamをトムトムと勘違いしてしまっていました。恥ずかしかったです。課題の解き方は、楽曲分析から(構成、スタイルの把握、ハーモニーの意味とコントラポワンの縦横の線、オルゲ(持続音)やクロマティックや旋律線etc...ラインを見つける等)音域や音色を設計しスコアに書いていく作業。書かれていることの意味を理解すること、さまざまな可能性を見つけだすこと、オーケストレーションの基本的なテクニック(楽器の知識、編成と響きのポイント、などなど)を使うことが、いまの初級段階で身に着けることです。

作品作りは、設計を書き直し、面白半分のような余計なことはしないことにしました。テキストのシラブルを切り、いちばん大切な主題をゆっくり見つけていきます。


18 Avr.

朝からNationのドゥプリュ先生宅で、クラリネットのレッスン。先日のコンサートの成功を聞いたそうでとても喜んでくださいました。生徒思いです。。ガム(音階)を1種類、4つのアルペジオ、クロマティック、高いLaSiDoのDoigtes(フィンガリング)は、ビス1つで世界が変わり、すごく嬉しかった。Bachのチェロ組曲2番、弦楽器の曲をクラリネットで演奏するさいのブレスの解釈。Debussy1erRhapsodie、私の演奏にはたくさん間違いがしみついていて、それらをシンプルに正していくだけで、美しいDebussyの音楽が再現されました。出版譜にも間違いがあるけれど、正しい楽譜には、すべて書かれている。国立図書館に行けば自筆譜とDebussyが監修した当時の教授による実演があるそうで、コピーをもらっておいで、と言われました。レッスンの後は、先生のお話。。スイスでのレコーディング、当時のエンジニアの様子、パリのバンドレンが音源を買い取ったエピソード、いろいろなお話を聞きました。個人の日記に、記録をのこします。

その後、夕方から19区コンセルバトワールで、24日コンサートのリハーサル。待ち合わせまで少し時間があったので、果物とサンドイッチを買って近くの公園に行きました。ウトウトして、待ち合わせ場所へ。
ギターとフルートのための曲をレペテションしました。素晴らしい演奏者に初演していただける幸運、幸せです。いい曲が演奏できてうれしい、よい演奏会にしたいです、と言ってくださいました。嬉しかったです。

帰宅して荷物をとって、パリ市語学学校へ。指示形容詞、お天気の話題。聞き取り問題など。生徒が自分の国の四季について説明しました。私は日本の四季を説明、桜、梅雨、台風、北と南でかなり違うこと、などなど。へーと面白がってくれました。

今夜はオーケストレーションの課題を。少し前から、印象派の作曲家がつづきます。技法も繊細に。


17 Avr.

昼から音楽院で作曲のレッスン。新作のアイデアスケッチに意見をいただきました。クロステールとトナリテの分析。特に繊細な、トナリテのプログレッションの実例を、連弾で音を出して聴き比べてみたり。
6時くらいにおわり、 対位法のレッスン室にいきました。3声のブロンシュ、コラール、シャラン和声課題。4月から、北京芸大のフーガの教授が研修生として私たちのレッスンを見学しています。日本の対位法事情(?)にもとても興味があるそうです。セキュリタリアンのおじさんが、もう学校を閉めないといけませんから出てくださいね、レッスン室にやってきましたが、なかなか終わりません。

とても疲れてしまい、帰宅してから日本のお仕事のピアノ曲をつくりつつ寝てしまいました。写真は通学路のモンソー公園


16 Avr.

お見舞いにきてくれたグレゴワールの、お天気の話をきくうち誘惑に負け、メトロに送るついでにトロカデロまで歩きました。Debussyのお墓に寄って、ビブリオテックでポールのテキストを借りて、エッフェル塔の公園でショコラショーを飲んで、汗だくで帰りました。夜はパリ市語学学校に。複数形と女性名詞、形容詞の配置などを習っているところ。結婚式に出席するとき、あなたは何を着ますか?と先生に聞かれ、黒のソワレ用ドレスとエナメルのヒールの靴、リボンのネックレスをつけて、小さく綺麗なかばんを持ちます、といいました。くつは2つで1つなので、必ず複数形になるそうです。別の生徒(おじさん)は、警備員になったらどんな格好をしますか?と聞かれて、黒のミニスカートとウケを狙っていました。たのしいです。

新作、細かい設計をしはじめました。トナリテと、音色とリズム、テキストの、アンバランスな配置です。


15 Avr.

スコラカントルムで新作コンサート。メルレ先生の紹介でパトリシア・モレさんの「風の音」を初演。幻想的なクラリネットとピアノの作品、中間部に自由で長いカデンツがあります。フィリップ氏のピアノ、耳のよいお客さん、古い石のサリュで音が伸びる感覚、覚えておきたいです。パトリシアも先生も喜んでくださりとてもうれしかった。メルレ先生のチェロとピアノのためのプレリュードには驚きました。まさかあんな展開になるとは...。
終演後、みなでチベットのレストランにいきました。野菜スープ、甘蜜菓子、赤ワイン、チベットのコーヒー、食後のサービスはチベットのお酒。一口でダウンする度数でした。光りの屈折で、お酒を飲み干すと底の絵が見えなくなるしかけ。

日本から夜中中何度も連絡をくださっていましたが、時差のため、すっかり寝てしまっていました。ごめんなさい。映像につける音楽の相談。リハーサルの前にすぐ編曲して、送ってマスターに間に合いました。よかったです。


14 Avr.

パリは今日から春になったようです。うすいコートが、もういりませんでした。太陽はまぶしく光り、カフェではノースリーブやTシャツで、みんなのびのびと幸せそう。
午前中からドゥプリュ氏の出版記念パーティーに出席。歴代の門下生たち、フランス中のクラリネット奏者が大集合した夢のようなアンサンブルでのお祝いでした。先生がステージ上でお話され、その言葉はとても深く暖かく、巨匠の宇宙のような大きさにみんなが幸せな気持ちを頂くのでした。コンサートのあとはお食事で、皆さんといっしょに、フォアグラ、ショコラ、キャビアのムース、マカロン、何でもかんでも食べて、ワインを飲んで、本のプレゼントに先生からサインを頂いたり、みんなで写真をとっていただいたり、大好きな演奏家とドキドキしながらお話をしたり、うっとりとした時間を過ごしました。

数日前から 新作の作曲の準備にかかり始めています。探しているテキストが、パリではなかなかみつからないようです。